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『スパイ・ゾルゲ』

久々に映画を。と言ってもレンタルだが..。
昨日見たのが『スパイ・ゾルゲ』

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篠田正浩

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素晴らしかった。
まず、私は中学以降日本史などろくに教わっていないし、基本的に興味もない。
ここで出てくる南下路線や近衛内閣ほか.. 大変に興味深く、そして参考になった。

戦争関連の映画は、私の印象では..
どっかの大将を称えるようなもの、原爆関連、その中のいち庶民.. そんなようなものばかりのように思う。

このように、第一次大戦~二次大戦の間の政治や統治... こういう部分をクローズアップした映画は大変面白いのではないかと思う。
権力、思想、外交.. 多くが戦い合ったり、きっと大小多くの塊それぞれが、何かを目指して活動していたことだろう。


さて、映画について。
まず私は、ゾルゲについては.. 手塚治の『アドルフに告ぐ』を読んでいたのでかろうじて知っている。
今回は、ゾルゲの置かれている立場や考え方、国への想い、スパイ手法、ルート作りほか大変に興味深かった。

そして実写や写真が多く出てくるが..
スターリンの実写を見たのは初めてだ。
スターリンの粛清によって、ゾルゲのラインが干されている部分も出ていた。

音楽と映像は、映画らしくかなり意識して作られている。
まあ、音楽は演出というよりストレートな使い方だったが..。


朝日新聞がかなり協力している。
今現状の私たちにとってみれば、それだけでうがった見方をしてしまうが...
思想方面は、十分にニュートラルな映画だと感じた。

最後にジョン・レノンのイマジンが流れ、和約が出てくる。
なので、国境もなにもなく皆が仲良く暮らせる云々という程度の深さなんだろう...
だからこそ、偏りがないのだろう。

但し、私自身が強く感じたのは..
それはやはり、国家というものが問題を起こしているということだ。
それはまさに現在に通じるものがある。

そして、この時代にコミュニズムが重要だったろうことは十分に理解できる。
現代でもその亡霊を追いかけている人がいるとしたら、それは大間違いだとは思うが..。

いずれにしろ、真に重要なのは、手段にある。
どんな立派な思想を掲げても、手段を反故にしては自滅するだけだ。
そして手段を軽視する姿勢は左派に多いように感じる。

現在の問題はむしろ、既得権益を守り続けようとする方々。
死に体組織にある。


尾崎さんやゾルゲがまだ上海にいた頃、誰だったか.. 日本を分析する上で『天皇が宗教に近い存在になってしまったために、政治組織での改革は無理だ。それが出来るのは軍部サイドしかなくなった。』というような話しがあった。
これも大変に興味深い。


まあしかし、映画として映し出していたのは... 思想云々よりも個の繋がり。
コミュニズムよりも自身の日本の現状を優先したいスパイ。ナチ高官とも言える日本大使はその忠誠よりもゾルゲとの個人的な関係が上回る。国家よりも国民を強く置くことを告げる尾崎に信頼は失われていない。



東京の風景.. 国会議事堂の背後に大きく富士山がそびえたっていたのが見事だった。
今では遠くに見えるが、もしかしたら当時はずっと近くに見えていたのかもしれない。
映像については.. そっこら中に、素敵な絵が見られた。
各場面その、雰囲気というか空気のようなもの.. そういう部分まで映し出されているように感じた。

列車の窓からガイジンにおねだりする子どもたち、東京の街並みの中を進む戦車の列ほか、当時の雰囲気を忠実に再現しているように感じた場面も数多い。


2.26事件は、何と今さらその実像が見えた。
自身の家柄、出自の正当性、自論の否定など.. 触れたくない方々も多いのかもしれないが、それでも大戦間の歴史は、政治も官僚も軍部も組織も思想家も、それぞれ大変に興味深いもので、もっとこの部分の映画が欲しいところだ。


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  1. 2010/11/15(月) 18:51:04|
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