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甘粕正彦を知っていますか?

人生の峠を越え始めている世代や、学者や政治家なんかは当然知っているんでしょうが...

私は、ここで日頃「私はつくづく一般的なサラリーマンだ。」と言っている。
私の感じる疑問は、結構な割合で週刊の経済雑誌で特集にあがる。そして私が主張する内容の多くは、至って当たり前のようで、わざわざそんなことを主張する人はいないために、そういうことをあえて主張する方々の意見をたまに見かけて安心する。

つまりは、私の感覚や情報経路、知識体系は至って普通な範囲に収まるものだろう。
ってことは、私が知らなかった人物はきっと多くの一般大衆同志も知らないんじゃないか?と考えている。


ここのところブログもサボりがちに何冊かの本を読みふけっている。
そのうちの一冊が...

甘粕正彦 乱心の曠野 (新潮文庫)甘粕正彦 乱心の曠野 (新潮文庫)
佐野 眞一

新潮社 2010-10
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この甘粕正彦という人物の仕事や人間関係を追った本だ。



何が言いたいかというと、実はこれも龍馬伝の影響でもある。
日本には、あのように大変に面白い時代があった。
そしてきっと明治-大正-昭和間には、そのほかにもいろいろ面白い話しは眠っているハズだ。

なのに..
私がこれまで日常で触れてきた映画やドラマや話しは、戦争が良い-悪いだとか、○○将軍がナンチャラ程度の話しであったり、それ以上の昔話であったり、いっそ海外の歴史のほうが詳しいんではないのか?と思えるような状況だった。

「こんなに面白い話し、人物が眠ってるじゃないか!!」 ・・そう思ったわけだ。

きっと多くの一般サラリーマンもこの名前を知らない。
海外でも国内でも、無理やりキャラクターをひっぱり出してきてるのに、何故そのような時代の映画やドラマや読み物が出てこないんだろうか?

この人物の周りには.. 東条英機、石原莞爾、岸信介、(ラストエンペラー)溥儀など、私でも聞いたことのある人物の名前が登場する。それも、結構関わっているんだ。
甘粕さんの人柄だけで十分に見る価値はあるが、そのような大人物と関わってきているというだけでも十分にドラマになっているじゃないか。

それ以外にも、登場してる人物でそれぞれに十分魅力的なキャラクターがいる。
伊藤野枝、大川周明、鮎川義介.. まあ時代があまりに凝縮していて、そして前後に繋がる血縁に多くのビッグネームがあって、それ以外にいくらでも魅力的な人物がいた。

そのような数々の名前は、ろくに知られていない一人の人物を捉えるために登場しているわけだ。


きっとかつては、明治~昭和の映画やドラマや読み物が栄えた時期もあったんだろう..
そしてもしかしたら、現在の大人物たちはとうに飽きてしまっているから取り上げられないのかもしれないが... この辺の時代は、今の現役世代にはきっと合っている。
かなり当たると思うんだが...。



というのが、今日の主論。
政治の面など、そのほかにも大変に興味深かった。

今までまったく知らなかった人間が、これ一冊読んだだけでの感覚ではあるが...
甘粕さんは、天皇を神のように崇め、そんな天皇が作った日本及び日本人の能力や良心を信じ、それを広めることを自分の成すべき道だと選んだ人生のように思われる。

主義や主張や理論に従っているのではない。
このような部分で感じることが何種類かある。

まず、縦のつながり。
現代は、縦どころか親子のつながりさえ希薄になってきている。
縦のつながりは、人を軌道に戻す大きな力だ。
かつては、もしくは名家の子孫というのは.. どうやら多くが、自分の成すべき道を早期に見定め、それにまい進していくという人生を歩んでいるようだ。
見定めるタイミングが早く、そしてその原動力となっているのが学問にある。
今でも十分そのような只中にある家系もあろう..
しかし、その家系力というか縦のつながり(親世代程度ではない、長いチカラ)や、意思の大きさは弱まってきている。「親や子に恥をかかさられない」どころか.. 先祖から末代までを意識した拘束力だ。

そして特に大東公司の頃..
既出、大川周明さんの範囲にいた頃、彼の行動は特に、アジアをイギリスから解放することをかなり強く意識した行動を選択している。
このような発想は、今はインドを語るときに出てくることがあるが..
アジア侵攻をこの視点で語ることがあまりに少ない。
このような精神は、きっと今でも多く受け継がれている。現実に息づいている以上、取り上げて考えていくべきであって、触れないようにするのは大きな間違いだ。

そしてこれらは、主義主張の優劣を超えるものであろう。
右翼だ左翼だといった話しで終わらせるのはあまりにもつまらない。
現実を直視し、現実に感じるものを信じ、背後にある屁理屈の優先順位はそれより低い。
意思、思い、自分が屁理屈より優先していることが重要だ。

右だ左だ.. そんな議論になってしまうのならば、まだ東条英機と石原莞爾の“差”を考えていく方が有意義だと感じる。
岸信介をひたすらたどっていく方が有意義だと感じる。

私たちは、アメリカンな正義だ悪だといった単純で陳腐な発想よりも、ずっと機微に富み、複雑な心象を考えていくことが出来る。


この本では、大杉栄さんのご近所さんだった内田魯案さんが、大杉さんに感じた印象についてほんの一行程度触れている。その一行だけで、大杉栄という人への評価は大きく揺らぐ。

“無政府主義者らしからざる金紋黒塗りの乳母車を押して、近所を鷹揚に散歩する大杉の姿をよく見かけていた。”

大杉さんという人は、主義者というよりも政治家なんであり、やくざなんであり.. 主義に没したのではなく、それを自分の道だと見定めた人なんであろう... と感じた。

そして甘粕さんも、左翼だろうとなんだろうと関係なく、人材を登用している。


それ以外にも、右翼、活動家、やくざ、政治家、実業家に流れている血の源を見たような部分もあった。
もうきっと、明治~昭和にかけて触れられては困るという人もそれほどいないだろう。

そしてもしいたとしても..
今の時代には、これが必要だ。
それだけで十分に、使っていい理由にもなろう。

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  1. 2010/12/10(金) 02:12:02|
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