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長期雇用・終身雇用という議論の軸へのそもそもの疑問

長期雇用・終身雇用という議論の軸について、基本的な違和感がある。

終身雇用とは、そもそも「必ず定年まで雇う」という制度ではない。
雇用とはまず、有期雇用と無期雇用という捉え方をするべきだろう。

終身雇用是か非か・・ というのはつまり、「全て有期雇用にすべきかどうか」という意見に等しい。中途半端な長期を設定しようにも・・ 適度に区切る年数に根拠などありようもない。

正社員・パート・アルバイトとは、基本的にすべて無期雇用であり、それらの契約は労使双方基本的にずっと働いていく予定であるものだ。
アルバイトを学生と限定し、いずれ辞めていく・・ そんなイメージの人もいるだろうが、期間を区切るのは厳密には契約社員といい、そうでなければ無期雇用だ。さらに、契約社員であっても、契約更新をたびたび行い、実質が当然更新されるであろうと判断できる状態である場合は、法的には無期雇用と解釈される。アルバイトとは、そんな部分も回避しつつ・・ 大学生など数年後に辞めることが容易に予想できるからくくられているようなものだ。
なので、法的には無期雇用の範疇に入る。

「結果的に終身1社で全うするかどうか」とは、基本的に意味をなさない。朝の記事の通り、退職金制度がある多くの会社にとっては、入社後しばらくしたら中途だろうと退職金積み立てが始まる。退職金は、確かに中途退職でももらえる。しかし、数年後に退職することが想定(または前提と)されているならば、退職金という制度は設置されないだろう。つまり、多くの企業で退職金というものが設置されている時点でそれは実質終身雇用制度と言ってよく、結果的に終身なのかどうかはあまり重要ではない。これは無期雇用なんだ。

全てを有期雇用にするということは、将来の幹部候補から取締役クラス・創業者含め、無期雇用という存在がなくなるということだ。ホントにそれで事業がうまくいくとは到底思えない。

やはり正社員的な雇用を一部残しておくというならば、それはつまりほとんどの人を契約社員にしろ!と言っていることになる。プロの世界では、確かに毎年が契約更新だ。そういう世界を「一部に適用すべき」という話しであれば、あまり重要な議論だとは思えない。議論としての価値であれば、「全てをそうすべき」というほうがまだ価値がある。

スキルの標準化は、企業自体の区別を無意味にする。
日産の代理店管理→日産のセールスプロモーション→ホンダの販売企画→マツダの広告戦略とキャリアしていけば... じゃあ一体、だれがホンダである必要があるのか?
設計も製造も営業も、皆がそのような雇用形態にあるのだから、同業他社がそれだけある必要すらなくなる。
貿易だって、例えば同じアルゼンチンだとしても、牛肉の貿易とワインの貿易は違う。場所と役所と手続きノウハウと言語が同じなだけだ。
「それだけ同じなら十分だろう」 ・・いや、そうであれば、その人のキャリアは一生アルゼンチンと共にしなければならないということになる。

総合商社だって、同じ会社にいるのに、基本的に鉄なら鉄を、麦なら麦をずっと扱っていく。麦を扱うのに、それだけの年月を要するということだ。きめの細かい(標準化できない)ノウハウがあるからこそ、日本のビジネスは底深い。そのような回りくどい手続きを嫌うし、出来ないからこそ・・ 欧米ではパワー戦略が安易に用いられる。

キャリアとは、基本的にどの道を行ったって、たどりつく場所は同じだ。大事なのは道を究めることにあり、それはどのような制度だろうと人間性によってたどり着ける。つまりそれは制度の問題ではなく人間性の問題だということだ。
また、事前に用意されたキャリアプランの上にしか道がないというのならば、いったいどこで何か新しいものが生まれるというのだろう。
さらに、池田さんの記事には「いつ首を切られるか分からない制度より、一生安泰な方を選択したい」というような話しがあった。それは家庭のある人と、怠け者の場合だ。

以前から私は、ビジネスシーンがよく出てくるようなタイプのアメリカ映画を見ていてとても気になっていた点がある。それは、そこに映る多くの社員が皆、手柄をあげようとあまりにも必至な様子が見て取れる部分。功を焦ることはビジネスにとって効率的とは言えない。

雇用の問題は、「解雇をし易くし再出発をしやすくする」ことにしか理はない。



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テーマ:これからの日本 - ジャンル:政治・経済

  1. 2009/05/08(金) 02:12:40|
  2. 雇用・労働・人事
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